この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第1章 出会い(1)
電車を降りた瞬間、プラットホームを満たす湿った空気が、肌にゆっくりと、しかし容赦なくまとわりついてきた。冷房の効いた車内の涼しさは、まるで遠い季節の記憶のように、あっという間に溶けて消える。
JR大阪駅の改札を抜け、行き交う人の波を縫うように地下街へと潜ると、喧騒がわずかに遠のき、代わりに湿ったコンクリートの匂いと、どこからか漂う甘い喫茶店の香りが混じり合った。あらかじめ指定されていた店のドアを押し、奥まった席へと目をやった。
彼女は、すでにそこにいた。
僕の姿を認めると、小さく手を振る。約束の時間にはまだ十分ほど早かったが、「お待たせしました」と声をかけ、向かいの席に腰を下ろす。椅子の背に触れた瞬間、彼女の纏うフローラル系の香水が、薄いヴェールのようにそっと近づいてきた。
「コーヒー飲むでしょ? 何にする?」
「エスプレッソで」
「あら、てっきりアメリカンかと思ってた。濃いコーヒーも飲むのね」
くすりと微笑む彼女を、正面から見つめた。その微笑みは、どこか母性的でありながら、同時に男を静かに試すような光を宿していた。
僕の名は鞍田昭吾、二十二歳の大学生。
目の前にいる女性は美香という。上の名前はこの時はまだ知らなかった。医療系の仕事をしていると聞き、出会い系のサイトで繋がった。
女優の木村多江を思わせる、いかにも和風の清楚な佇まい。身にまとった萌黄色のワンピースが、その静かな魅力を静かに、しかし確実に引き立てている。もしこの場所で出会っていなければ、出会い系を利用する女性には見えなかっただろう。
漂う空気はどこまでも正統派の清楚系で、化粧はごく薄く、頬にほんのりとチークをのせた程度だ。それがかえって、彼女の肌の瑞々しさを際立たせていた。
真実は定かではないが四十五歳だと彼女は言った。しかし、その肌艶を見る限り、五十代近い年齢とは到底思えぬほど、水を含んだ花のように潤っている。ピンクのルージュがひかれた唇は、上唇が下唇より少し厚く、どこか艶めかしい。ぷっくりと濡れたような輝きが、男の奥底にある征服欲を、静かに、しかし確実に呼び覚ますようだった。
JR大阪駅の改札を抜け、行き交う人の波を縫うように地下街へと潜ると、喧騒がわずかに遠のき、代わりに湿ったコンクリートの匂いと、どこからか漂う甘い喫茶店の香りが混じり合った。あらかじめ指定されていた店のドアを押し、奥まった席へと目をやった。
彼女は、すでにそこにいた。
僕の姿を認めると、小さく手を振る。約束の時間にはまだ十分ほど早かったが、「お待たせしました」と声をかけ、向かいの席に腰を下ろす。椅子の背に触れた瞬間、彼女の纏うフローラル系の香水が、薄いヴェールのようにそっと近づいてきた。
「コーヒー飲むでしょ? 何にする?」
「エスプレッソで」
「あら、てっきりアメリカンかと思ってた。濃いコーヒーも飲むのね」
くすりと微笑む彼女を、正面から見つめた。その微笑みは、どこか母性的でありながら、同時に男を静かに試すような光を宿していた。
僕の名は鞍田昭吾、二十二歳の大学生。
目の前にいる女性は美香という。上の名前はこの時はまだ知らなかった。医療系の仕事をしていると聞き、出会い系のサイトで繋がった。
女優の木村多江を思わせる、いかにも和風の清楚な佇まい。身にまとった萌黄色のワンピースが、その静かな魅力を静かに、しかし確実に引き立てている。もしこの場所で出会っていなければ、出会い系を利用する女性には見えなかっただろう。
漂う空気はどこまでも正統派の清楚系で、化粧はごく薄く、頬にほんのりとチークをのせた程度だ。それがかえって、彼女の肌の瑞々しさを際立たせていた。
真実は定かではないが四十五歳だと彼女は言った。しかし、その肌艶を見る限り、五十代近い年齢とは到底思えぬほど、水を含んだ花のように潤っている。ピンクのルージュがひかれた唇は、上唇が下唇より少し厚く、どこか艶めかしい。ぷっくりと濡れたような輝きが、男の奥底にある征服欲を、静かに、しかし確実に呼び覚ますようだった。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


