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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第6章 出会い(6)
耳元に落とした僕の声は、ほとんど吐息に紛れていた。汗ばんだ背中に唇を寄せたまま紡ぐ言葉には、微かに香る甘い残り香と、肌が発する確かな体温が溶け込んでいく。

美香さんはやはり答えなかった。ただゆっくりと腰を僕の指へと押しつけ直した。それは拒絶の色など微塵もなく、むしろこのまま穏やかな時間に溺れ続けていたいという、静かなる無言の合図だった。

指を引き抜けば、銀色の細い糸が光を弾くように微かに伸び、再びゆっくりと奥へと沈んでいく。その内側の柔らかな肉は、まるで名残を惜しむかのように僕の指を絡め取り、あたたかな収縮を繰り返していた。

「……美香さん」

名を呼ぶと、彼女の白くしなやかな肩が小さくすくむ。

「……なに」

枕のなかに吸い込まれるような、掠れた呟き。

「まだ、中が……こんなに」

僕はその背中にそっと頬を寄せ、指の動きにわずかな変化を織り交ぜた。細やかな襞をなぞり、奥底を探るように動かすたび、彼女の背筋が弓なりに小さく反り、爪先が切なげにシーツを掴む。

「……わかってる」

彼女は、目を閉じたまま呟いた。

「……わかってるのに……」

その言葉の続きは、夜気を含んだ吐息のなかにふわりと溶けて消えていった。藍色に染まりゆく部屋の窓の外では、遠くの街の灯りが星のようにひっそりと瞬き、エアコンの低い稼働音が規則正しいリズムを刻み続けている。

そっと三本目の指を添えると、美香さんの呼吸が一度ぴたりと止まり、やがて長く、深い吐息となってこぼれ落ちた。

「……あ……」

それは耳を澄まなければ聞き逃してしまいそうなほど小さな声だったけれど、彼女の身体はそのすべてを雄弁に物語っていた。重なる指を締めつける内壁の熱と、自ら押しつけてくる腰の軌道が、心地よい波となって伝わってくる。

僕は彼女の白い背中に、幾度となく唇を落とした。指は静かに、しかし確かな温もりを抱きながら動き続けている。

やがて美香さんは、もう一度ゆっくりと顔をこちらに向けた。半ば閉じた瞼の隙間から向けられた瞳には、熱を帯びた光がまだ揺らめいている。

「……まだ、したいの?すごいわね」

それは先ほどと同じ問いかけでありながら、どこか穏やかな覚悟のような響きを纏っていた。

僕は指の動きを止めぬまま、その潤んだ唇へとそっと自分の唇を重ね合わせた。





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