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*妄想社長に振り回されて*
第6章 過去と経験
「香菜さんが……」

「香菜さんと……」

「香菜さんに……」

別に国語の勉強をしているわけじゃない。
付き合ったあの日から一週間。
仕事をしてる時には聞こえなかった名前が、プライベートでは頻発する。

本当に無自覚なのかな……

もちろん雅也さんもその名前が出る度にバツが悪そうな顔をした。
だけどそれも何となく気まずくなる要因で。
だんだん口数が少なくなるのを感じずにはいられない。

気にしない……と言えば嘘になるけど。
過去に恋人がたのは私も同じだ。
だからそこまで過剰に反応しなくてもいいと思う。

でもそれを言うと…
「もう俺のことはどうでもよくなったのか!?」
とか言われちゃうからどうにもならない。

もしかしたら数々の被害妄想の酷さはここからきてるのかもしれなかった。
先に悪いことを想像することで防御をするのだ。
そうすれば傷つく度合いも軽くて済む。

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