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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
「入れ」

鎧姿の数名の武者が、土間の片隅に連れ込まれてきた。

あっ・・・・

鎧に刻まれた藤川の家紋が、菜々の視線に鮮明に映る。

血を流し、足をふらつかせたものもいる。

菜々は、そこに夫の姿があることを恐れた。

だが、夫、勝重はそこにはいなかった。

それでも、菜々は激しい緊迫を感じないわけにはいかなかった。

その中に一人、菜々がよく知る顔がいたのだ。

それは、勝重の側近であり、菜々とも頻繁に接触があった家臣であった。

「この者たちは捕えられた藤川方じゃ」

武者たちが座らされた土間にまで歩き、頭領格の老人は声をあげた。

「この者たちに検分してもらう」

菜々は息を呑んだ。

「そこに縛られたおなごが、主の奥方かどうかを」

盗賊たちに促され、藤川の武者たちが縛られたままで、広間に誘導される。

「奥方様、ご安堵を」

甚八が、低い声で隣にいる菜々にささやく。

「甚八、わらわは・・・・」

「決して心の揺らぎを見せてはなりませぬぞ」

やがて、菜々の家来たちが目の前にまで連行されてきた。

「おふたかた、顔をあげい」

老人の指示に、甚八と菜々は、ゆっくりと顔を動かす。

そして、すぐそこにいる武者たちを無表情に見つめた。

「どうじゃ、このおなごに見覚えはあるか」

老人は、武者たちの僅かな表情の動きを逃すまいとしている。

激しすぎる鼓動と共に、菜々は緊迫の絶頂にいる。
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