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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 三人が連れ立って玄関に並び、


「パパ、行ってきます。帰って来たら、私の動画を見せてね。」


 俺に抱き付き唇が放れた瞬間、梨華からのリクエストが届いた。


「ん?あぁ、いいよ。それから、編集もやるからね。ママのもしなくちゃな。ふふっ。」


 はいっと、言いながら身体が離れ、梨華が名残惜しげに出ていった。
 直ぐに、俺は三奈の柔らかい唇を求め、貪った。


「二郎さん、いま、私のも編集するって?公開するのね。」


 三奈の瞳に何事かを決意したような色が浮かんでいた。


「あぁ、梨華の望みだからね。お前のもだよ、三奈。」


「あの、顔は隠して下さるのね。」


 必死の表情で俺に訴えた三奈は、母親の顔だった。
 もう一度抱き締めながら、


「あぁ、顔はわからないようにするよ。それに、他の男にお前たちが迫られても困るからね。それに、公開する前に一緒にチェックしてくれるだろ?」


 はい、と小さくうなずく三奈の手を握り締めた。
 安心したように、三奈の顔に微笑みが戻った。
 玄関を出て、名残を惜しむように時間をかけて、三奈が鍵をかけた。
 梨華の姿が見えなくなると、俺は三奈を俺の車に誘った。
 少しためらっているようだったが、わりと素直に彼女が俺の車に乗った。


「なんで、私を?」


 驚く三奈の唇を唇で塞ぎ、しばし三奈の唇を味わった。


「うん、きょうはママに話があってね。会社まで送って行くよ。それから行ってもかまやしないからね。」


「話って、二郎さん?どんな?」


 三奈の顔が不安そうに、俺を見ていた。
 車をスタートさせ、どう話すか考えていた。


「うん、きょう帰りに少し時間が取れるかい?お前と買い物をしたいんやけど?それに、旅行に行く前に見てもらいたい場所があるんだ。」


「えっ、見てもらいたい場所って?どこですか、ご主人様。」


 ご主人様かぁ、えぇ響きやな。
 あかんあかん、のぼせてる場合やないわ。


「うん、新しく建てる家の予定地さ。それと、お前と二人っきりになりたいんだ、一時間だけでもね。」


「えっ、新しい家!まさか、もう決めてるの?あっ、えぇ、私も、一緒に一時間、いえ、ただの五分でもご主人様と二人っきりで、いたい。」


「うん、決めてるよ。いつも、梨華が一緒だからね、気を使わずに楽しませたいんだ、三奈を。」
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