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梨華との秘密
第10章 聖夜の宴
 紹介?
 えっ、なにを言ってるんや、この娘は?
 頭が混乱したまま、


「えっ、紹介って、クリスマスも旅行やし、年明けでええかな?」


 思わず、バカを言ったと思ったが、遅かった。
 次の言葉を発する前に、柔らかいモノが俺にぶつかり、いきなり抱き締められていた。
 お父さんと確かに聞こえたが、あとは肩を震わせ黙ってしがみついている彼女の背中に手を回し、ただ撫でていた。
 三分ほどたっただろうか?
 彼女の震えが止まり、俺を見つめていた。


「お父さん、私、、、」


 言葉が途中で途切れ、俺は彼女の唇が触れたのを感じた。
 彼女の心が痛いほど俺には、わかった。
 若い女の体臭が俺の理性を飛ばしそうになっが、辛うじて踏み止まった。


「ミキちゃん、クリスマスイブにこられるかい?家族に紹介するよ。」


 柔らかい唇が放れ、保っていた理性の欠片が言葉の切れ端を繋ぎ、絞り出していた。


「えっ、家族に?私、いいの?お父さん。」


 俺を見つめるミキの瞳の中に、喜びと不安が同時に広がっていた。


「うん、構わないよ。それどころか、二人とも喜ぶよ。新しい家族が増えたってね。たぶん、その方がミキちゃんの希望にもそえると思うよ。」


 言いながら、俺はまだミキの背中を撫で回していることを忘れていた。
 慌てて、手を離そうとしたが、彼女の手が俺の手を止め包んだ。
 カアッと、身体中の血が熱くたぎった。


「お父さん、お父さんの硬くなってる。このまま、一緒にいたい。私、変かな?」


 俺の中で理性と見栄と、欲望と、彼女との過去のいきさつが混じり合い、俺はミキを女として見ている自分に混乱していた。
 密着した身体を離そうと動いたが、彼女は俺の身体を追うように動き、更に身体を密着させてきた。


「お父さん、このままで、少しの間だけ、このままで、お願い!」


 ミキの気持ちがヒシヒシと伝わり、俺は身動きが取れなくなっていた。


「ミキちゃん、もうなにも言わなくていいよ。ミキちゃんの気持ちがわかるから。理恵さんとミキちゃんのホンとのお父さんには申し訳ないけど、俺はミキちゃんを娘じゃなく女として見てる。けど、俺には家族がいるんだ。それでも、構わへんかな?」


 彼女は答える代わりに小さくうなずき、アゴを少しあげた。
 プルンとした唇が少し開き、俺の唇を待っていた。
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