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梨華との秘密
第10章 聖夜の宴
 柔らかい唇が軽く触れ、ミキの唇がオズオズと開かれた。
 迷ったが、俺は舌を彼女の柔らかい唇から侵入させた。
 ユックリと彼女の舌を求めるように、唇から歯茎へ、舌先で確かめるように触れ、歯と歯の間から彼女の領域に侵入していた。
 舌先が触れ合い、ミキの身体から力が抜け、俺に身体を預けてきた。
 俺の理性は止めろと叫び、俺の欲望は女を犯せと煽っていた。
 舌を吸い合い、ミキを机に押し付け俺達はお互いの唇と舌を貪りあった。
 いかん、なにをしてるんや!
 理恵さんに申し訳がたたん!
 しかし、混乱した頭とミキの父親と母親の顔が交互に現れ、俺はフラッシュバックしていた。
 彼女から唇を放し、俺は呆然と木偶の坊のように突っ立っていた。


「お父さん、大丈夫?私が、お父さんを誘ったから?」


 ミキの声が遠くで聞こえている気がした。
 俺の背中に柔らかいモノが触れ、包まれた。
 不意に理恵さんの笑顔が浮かび、俺の中に入ってきたように感じた。


「イヤ、悪いんは俺や。ミキちゃん、クリスマスイブには家族になろうな。ホンマの家族にね。それまで我慢できるかい?」


 バカ、なにを言うとんじゃ俺は!
 しかし、彼女の答えは俺の予想を外れてた。


「はい、イブまで待ちます。イブに、お父さんのホンとの娘にしてください。私、お父さんが家族って言った事の意味がわかりました。だから、どうしても家族になりたいんです。お母さんが望んで、今は私の望みなんです。」


 アッチャア、そっちか、て、誘ったんわ、俺や。
 引き受けられるか?
 けど、受けるしかないか?
 どっちみち、クリスマスイブには全てバレるしな。


「良いやろ、準備しておくよ。家族が四人に増えるな。楽しいイブになるといいな。」


「はい、お父さん、嬉しい。あの、奥さまによろしくお願いします。」


 そう、三奈にどういうか?
 いや、梨華もどういうか?


「いや、奥さまじゃなく、ママだよ。理恵さんは一人だけど、ミキちゃんの新しい母親になるからね。」


 なるようになれと思いながら、ミキの答えを待った。


「つまり、私に新しいママができるの?つまり、お父さんの娘になるの?家族になるんね。本当の家族に。」


「うん、そうやで。ただ、お母さんを愛したかったようにしか、ミキちゃんを愛せへんよ。それでええんかな?」
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