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梨華との秘密
第10章 聖夜の宴
 俺のとんでもない言葉に、彼女がコクリと小さくうなずいた。
 そして、俺の顔を覗きこむように、


「はい、私はお父さんの本当の娘になります。お母さんを愛したかったように、愛して下さい。それが、SMでも構いません。ほなってそれが私の望みなんやもん。」


 明るく決然と、ミキは言い切った。
 背中にズシンと、重みを感じたが、


「ミキちゃん、わかった、そんなら、イブにおいで。三人で歓迎するわ。お姉ちゃんが出来たら、梨華も喜ぶわ。」


 お姉ちゃんという言葉にミキの頭が混乱したのがわかったが、切り返してきた。


「お姉ちゃんて、あの、妹がいるん?あっ、ママの連れ子?つまり、その娘もって、お父さん?つまり、母娘二人とも、そう言う事したの、お父さん?」


「うん、その通りやで、嫌いになったやろ?ミキちゃん、イヤになったんやったら、ハッキリ言うてな。その方が傷つかんですむからなぁ。」


 ヤッパシダメかぁ、と思ったが、ミキの答えは違っていた。


「ううん、お父さんが家に来なくなってから七年以上たってるんやもの、それに、お父さん、私を見ても分からんかったんやもの、仕方ないわよね。嫌いどころか、お父さんをもっと好きになったみたい。」


 ミキの覚悟を決めた言葉を聞きながら、彼女の腰に手を回し、ピンクのルージュに俺は唇を重ねていた。
 ユックリと舌先が触れ合い、彼女の動きに合わせるように俺の舌先が動き、彼女の舌先を軽く吸うように、小鳥が嘴(くちばし)を軽くつつきあうように、舌を吸い合いお互いの唾液をすすりあっていた。
 俺のブレーキは完全に外れそうだった。
 それを辛うじて止めたのは、ノックの音だった。
 外から、俺を呼んでいた。
 慌てて身体を放し、


「どうぞ、開いてますよ。」


 カチャッと音がして、入って来たのは課長だった。


「松川君、倉敷に行くまでにこれを見て欲しいんだが?」


「えっ、行くまでですか?なんでしょう?」


 課長が俺にファイルを手渡して来たが、なんだろうくらいでピンとこなかったが、


「えっ、これ、倉敷の!」


「うん、支社長ってより、営業課長の裏帳簿。まあ、実質的に彼が支社長みたいなもんだからな。どう使うかは君次第さ。まあ、役にはたたんと思うがな。君なら使い方がわかると思ってね。」


 倉敷に手を入れるってことか!
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