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梨華との秘密
第10章 聖夜の宴
 遠慮がちにネックレスを着けて貰う三奈に、俺は愛しさに満たされていた。
 同時に俺の中の獣も牙を研ぎはじめていた。


「うん、良いね。良く似合ってるよ。」


「嬉しい!アクセサリー、遠慮してたのに、ご主人様、ありがとう。」


 三奈の笑顔が爆発した。


「ママ、素敵!あの、お父さん、私のも見て下さいな。」


 三奈の様子を見ていた俺に、ミキがアピールしてきた。
 ミキの瞳に嫉妬がチロリと覗いていた。


「うん、いいよ。どんなやつかな?」


「これなんだけど、かんまんかな?」


 キラキラとクリアな透明さが印象的な琥珀だった。
 小さな琥珀をビーズの様に繋げた、個性的なデザインのネックレスだった。


「良いなぁ。渋めで、ええ感じや。それにしなさいな。」


「えっ、ええのん!嬉しい!ありがとう、お父さん。」


 ミキが喜びを爆発させ、俺に抱きついてきた。


「こらこら、店員さんがビックリしてるだろう。ママがヤキモチ妬くやろ?」


「けど、嬉しくて、恥ずかしい、みんな見てるし。」


 自らの行動で店中の注目を浴び、恥ずかしそうにしていたが、ミキの顔にはまんざらでもない表情が浮かんでいた。
 ミキの身体を放しながら、三奈を手招きして、


「三奈、これを良いって思うんだけど、梨華には早いかな?」


「えっ、これ、梨華に?喜ぶと思うけど、中学生だから、まだ早くないかしら?」


 三奈が驚くのも無理はないのだが、店員に頼んで見せて貰うことにした。
 若い女性店員が白い手袋をはめ、ショーケースから大事そうに取り出してくれた。


「手にとっても、良いかな?」


 店員に聞くと、


「どうぞ、手にとって見て下さい。」


 ありがとうと答えながら、店員の出してくれた大粒の真珠のネックレスを手にとって三奈の肌に合わせた。
 三奈の白い肌に少し金色がかった光沢が映え、キラキラと輝いていた。


「こいつは、お前の方がにあってるかもな。けど、これは梨華のだな。ふふ、会計をすまそうか?」


 女二人が頷くのを横目でみながら、店員にネックレスを渡した。
 俺たち三人の身なりを確かめるように見ながら、


「あの、三つともですか?」


「うん、三つともさ。妻と娘二人のね。」


 少し驚いたように、俺達とネックレスを見比べていた。
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