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梨華との秘密
第5章 蜜の刻
 三奈がオムライスを名残を惜しむように食べ終え、デザートのイチゴショートを一口、口に含むと、


「えっ、フジワラの?嬉しい、美味しいわぁ。幸せ~。」


 三奈の悦びが俺を包み、幸せな気分を感じていた。
 俺も熱いコーヒーを味わいながら、ショートケーキの押さえた甘味が口の中を満たした。


「うん、美味しい。フジワラのんは久しぶりやけど、ヤッパ、美味しいな。ブラックとちょうど合うな。」


「うふふ、良く知ってるわねえ二郎さん。フジワラを知ってるなんて、良くモテルんでしょ?」


 ほら来た、爆弾の方から寄ってきたぞ。


「ふふ、ママ、俺がモテなきゃ、いま、ママといないよ。なんてね、」


 やっちゃった。
 どうかな?
 三奈が唇を動かそうとした瞬間、後ろから刺客がぁ。


「ヤッパリ、パパってモテてたんだぁ。私、モテるパパって素敵だと思うわ、ね、ママ?」


 ありっ、助け船だ。
 いや、油断は出来んぞ。


「うふっ、そうね。モテないパパより、モテるパパの方がママは好き。それに、料理の出来るパパはもっと好きよ。」


 三奈の目が潤み、俺を見つめていた。


「ふふっ、ママも梨華もありがとう。二人にそんなに誉められると、照れ臭いな、けど嬉しいよ。三人で早く一緒に暮らしたいなぁ。」


 ありゃ、言い過ぎたかな?
 いや、三奈と梨華も望んでることだから、大丈夫だよ、
 俺の考えを読んだように三奈が、


「嬉しい、私も梨華も早く一緒に暮らしたいって、思ってるの。でも、家の問題もあるわね。」


 一緒に暮らす家をさがさなきゃな。


「うん、家は新しいのを考えてるんだ。でも、いまはママと梨華の住みたい方が一番だよ。」


 一瞬、失敗したかと、思ったが、


「えっ、新しいの?建てるん?あっ、ごめんなさい。でも、嬉しい。考えてくれてるのね、二郎さん。」


「え~っ、新しい家って?学校も変わっちゃうんじゃ、困るぅ。」


 ほら来たっ!
 まてよ!
 大丈夫だ。


「梨華、心配ないよ。学校変わらなくても大丈夫だよ。この団地の中に、あるんだ。あてになるのがね。」


「えっ、うそっ?」


「ほんとに?パパ、嬉しい!」


 ほぼ二人同時に、驚きの声をあげた。
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