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アネゴ的カノジョ
第5章 陽と陰
 
「えっ!?」

 杏子の叫びに、前を歩いていた男子が振り返る。

 その制服の胸元には、『矢部』の名札。

 杏子は慌てて腕を外すと、矢部という男子に当たりながらも駆け出していった。

「……あーあ……。怒られんだろうなぁ………」

 土埃を巻き上げんばかりの勢いで駆けていく杏子。

 徐々に小さくなっていく背中を苦笑を浮かべながら見送る雅人だった。

 そして視線を下ろせば、道で伸びている男子の姿。

「…だ、大丈…夫?」

 杏子が居なくなった瞬間、口が上手く回らなくなった雅人だったが、慌てて男子に駆け寄った。

「きゅうぅぅぅ…」

 抱えて起こせば、杏子に弾き飛ばされた勢いで目を回していた。

「は…はは………」

 改めて感じた杏子の勢いに、再び苦笑を浮かべる雅人だった。


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