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アネゴ的カノジョ
第5章 陽と陰
「ちょっとツラ貸せよ」
漸く、一日も半分が過ぎた頃だった。
いつものように、一人寂しく昼食を摂ろうと廊下を歩いていた雅人。
不意に肩を掴まれて振り返れば、両耳にピアスを着けた金髪の男子に睨まれていた。
「…な…何……かな………」
用件は分かっていた。
それでも口を開くと、金髪男子は更に睨みを利かせてくる。
「いいから、来いって言ってんだよっ」
有無を言わさず、雅人を引っ張る男子。
「…え……えっと………」
周りを見回しても他の生徒たちは目を逸らし、そそくさと去っていく。
…やっぱりか……
「ほら、さっさと歩けよっ」
誰も助けようとしてくれないのは分かっていた。
分かっていても落胆するものだった。
その間も、男子にグイグイと腕を引かれて連れ回されていく。
周りの生徒たちは、いつもの光景だと雅人を気に掛ける事も無かった。
…今日は……何を………
そして雅人も、抗う素振りを見せる事をしなくなっていた。