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毒舌
第9章 均衡


「無理矢理てごめにされるなんてっ」

「テゴメ?」

『ちげーよ。無理矢理でもてごめでもねぇ』


一人で首を傾げてから
私はイッちゃんの首に
腕を回した。


「えっ?!」

「イッちゃん誰かとキスとかしたことある?」


瞬間
イッちゃんの綺麗な顔は
真っ赤になった。


「すごく気持ち良くてとろけそうになるの」

「ここここ、琴美っ??!」


イッちゃんは
めちゃめちゃ
テンパってたけど

私は静かに
イッちゃんの
目を見て言った。


「全部おりょうの記憶にすぎないけれど、私はトビとは触れあえないけど。私、トビにされるの好き。すごく気持ちいいの」


イッちゃんはもう
言葉も出なくて
口をパクパク

金魚のように
動かしていた。


「人前にいる時はさすがに困っちゃうけど。でも……私、可哀想なんかじゃないよ」


トビが好きだから。


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