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毒舌
第16章 試してみない?
それなのに。
いつも一緒に
話を聞いているはずの
トビ本人は
こんな時に
何も言ってくれない。
馬鹿らしい、て
笑い飛ばしてよ。
自分は
凄い妖怪なんだって
いつも
威張っていたじゃない。
泣きそうなのに
顔に
曖昧な笑顔が張り付いたまま
私が何も言わずにいると
隣でイッちゃんが
ため息をついた。
「あたしずっとトビはほんとにいるって信じてきたから。琴美を泣かしたら祟られるんじゃないかって思ってた」
お酒のせいで
思ったままを
口走るだけ、
別に
悪気なんて
誰もないの。
「ほんとの妖怪だったら、何か天変地異的なことがあっても不思議じゃなかったわよね」
証拠がない
根拠がない
その事実だけで
もう
一緒に信じてくれる
友達もいない。