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毒舌
第4章 近くて遠い
『おりょうは、17にもなる行かず後家で』
「イカズゴケ?」
『その頃は12~3で嫁に行くのが当たり前だったからな。17なんてもうオバンだ』
辛辣なトビの言葉に
私は目をむいた。
「私今19なんですけど!」
『ふ、オバン』
時代が変わったんだから
そのモノサシは
やめてほしい。
『おりょうは自分の部屋から一歩も出てこない変な娘だった。どんな醜女かあるいは病弱かと思ったが、実際には雪ほど眩しい白肌の美しい娘だった』
トビでも
誰かを
褒めることがあるのかと
またまた驚いた。
『褒めてねぇよ』
「美しい娘だったんでしょ?」
『――事実だ』
事実を認めることは
つまり褒めていることに
入らないのだろうか。
トビの考え方は謎だった。
『殺してやるつもりで押し入ったが、』
「待って!なんで急に物騒?話が急展開すぎ」
どんな話だ、と
慌てる私に
トビは冷ややかに言った。
『お前、何回言えば解るんだよ。俺は妖怪なんだぜ?』
実体のないトビは
私の中にいる。
私が知るのはそれだけで
トビは意地悪だけど
一応人畜無害だ。
『笑わせんな。――まぁいいさ、話の続きを聞いてろ』
トビが
どんな恐ろしい存在だったか
私には想像出来ない。
何となく緊張してきて
自然に
ゴクリとのどがなった。