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毒舌
第4章 近くて遠い
「俺さ、前の支店で営業成績良すぎて、それで全国ワーストのここに回されてきたんだけどさ。完全アウェイ状態だし、やっかみとかあるし、俺のせいで部長がリストラされかねないとか気を使うわけ」
「ああ」
何か納得しちゃった。
「完全孤立は地味にシンドイし、オアシスは早めに作っておかないともたないから」
運転中なのに
こっち見てウインクとか
ダメですよ。
「琴美ちゃんはまだ新人さんだから内部の人たちと癒着ないし」
「オトナの事情だ。重い。私じゃオアシスなれません」
バッサリ。
香島さん再び苦笑。
「いいんだよ、別に。先入観とかなしにただ俺をそのまま見てくれればそれで」
「カッコいいとか将来有望とかそんなじゃなくて。普通で対等に」
「だからさ」
あ、
香島さんが続ける
セリフの一つ一つが
今まで落ちてた印象を
急に盛り上げてきた。
悪くない、
感じになりつつある。
……これは危ない流れだ。
「つまり友人としてですね。気さくに話せる相手がいてほしいと」
「惜しい」
先手を打ったつもりの私に
香島さんが
逃げ場のない
王手を返してきた。
「欲しいのは恋人」