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毒舌
第5章 加速
たぶん
実際には
ほんの短い時間、
私が顔をそむけるまでの
きっと一瞬。
でも
パニックしてる私には
何秒にも感じた。
『っや、ろう……!』
やりやがったな、と
言わんばかりの
トビの唸り声は
でも
香島さんには届かない。
「やっぱり不意打ちじゃあダメか」
肩をすくめて笑う、
どこまでも余裕。
耳元で呟いた香島さんを
睨み付けたかったけど
振り向くのは嫌。
「~~~~っ」
窓ガラスに映る
香島さんを
睨み付けてるだけだった。
「あれ、耳まで真っ赤」
私は
自分の手で
口をガードしつつ
ニコニコしている
香島さんを
ゆっくり振り返った。
涙目で
思いきり睨んでるのに
お気楽で腹立たしい。
「はは、可愛い。俺と付き合ってよ」
「……絶、対、嫌!」