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毒舌
第30章 小さな絆
『俺が封印を受けて以来、ずっとお前たちの中にいるが。おりょうの中にいた頃は、おりょうが何を考えてるかわからなかった』
(……心のこえが、聞こえなかったってこと?)
『そうだ。そして俺の声がおりょうに届くこともなかった』
私はすっかり
沈黙してしまった。
おりょうの心が
聞こえないトビ。
トビの声が
届かないおりょう。
(じゃあ……こんなふうに話も出来なかった、てことなの?)
『そうだ。』
(誰とも。ずっと?トビは一人だったの?)
『一人じゃあねえよ。お前らのすることは見えてるし、言葉は聞こえてた』
(でも)
相手からは
トビの存在に
気付いてもらえない。
それはおそらく
孤独と等しい。