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毒舌
第33章 見えない魔の手
いつもの調子で
呑気に話していた私と
相槌をうつ程度で
口数の少ないりおくん。
最初はぜんぜん
気付かなかったの。
「ここの五階に昔バーだったお店があるんだけど、鍵借りたからちょっと遊んでいこ?」
「?……鍵なんて誰に借りたの?」
不意に
思いがけない話をされて
瞬きを繰り返す、
にっこりと
りおくんは
笑顔を作った。
「このビルのオーナー、親戚なんだ。使ってないテナントもたまに掃除に行くの」
「へぇ、知らなかった」
「スタジオ格安で使わせてもらってるからね」
学生だもんね、
そうでなきゃ
音楽活動だって
大変なのかも。
地下にあるライヴハウス、
一階にチケットセンター、
二階と三階は
スタジオとかがある。
その上の階に
何があるかなんて
考えたこともなかった。