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毒舌
第35章 呪縛


「俺が器に触れた時――いつかわかるか?」

「?」


トビが私のおでこに自分の額を合わせて頬を撫で、意味ありげに笑う。


「お前はあの瞬間意識を手放した」


再現するように、トビが体を動かすと、私の中にトビを感じ始める。思わず声をあげてトビにしがみついたけれど、私は思い出していた。あの時、そうよあの時。トビが入ってくるのを私は受け入れて……途中で意識をなくしたんだ。

(邪魔されたって……そういう意味?)


真っ赤になりながら私は目を閉じた。トビがいっぱいで弾けそうになりながら、一番奥までゆっくり進んでくるトビに身を任せていた。


「今度は気絶すんなよ」


妖しく笑う唇がやけに色っぽくて、頭がおかしくなりそう。

私たち今、妖怪とそれをたぶらかす器の役目を終えたのに、それでもこうして繋がっている。


「だいすき……っ、トビ」

「当たり前だ」


器とか神様は関係なくて。私はトビが好き。優しく包み込んでくれて、乱暴で激しくて意地悪だけど大好き。

もっとキスして。


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