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毒舌
第35章 呪縛
私の体にあった神様の欠片はトビが持っていって、私が普通の人間になったから、もう妖怪とかに狙われたりしないんだって。
なんとなく、だから安心しきって、もう何もかも終わった気になっていた。トビがかわらずそばにいて、私の平穏な日常が帰ってきたような。幸せを手に入れた――そんな気がしてた。
目を覚ますと指を絡めて手を繋いだまま寝ちゃってたことに気付く。トビの寝顔をみつめて幸せを噛み締めた。
それなのに、どうして不安になるんだろ。駄目だ、私恐い。何を?わからない。
「どうして泣いてるんだ?」
目を開けたトビが私のしずくを指で掬い上げた。
「わかんないよ」
「相変わらず泣き虫だな」
「ずっといられるかな、これからも」
ぽろぽろと涙が珠を結んで落ちていく。トビはじっと私を静かに見ていた。
「琴美。
たとえもし死ぬような時も、次に生まれ変わる時も、必ず一緒にいくから安心しろ。もちろんこれから先の毎日もずっと一緒だ」
「ほんとに?」
小さく鼻をすすると頭をわしわし撫でられた。
「約束する。お前が嫌だって言っても離さねえ」
「言わないし」