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毒舌
第35章 呪縛
遠くの部署から香島さんの怒鳴り声が聞こえてきた。思わずビクリと肩が震える。
「やだぁ、またぁ?」
自分たちが怒られているわけじゃないけど、聞いていて気持ちのいいものでもなくあちらこちらでヒソヒソと話し声。
「最近イラついてるね」
「営業部カワイソー」
ちょっと心配。
『営業成績はそんな悪くねえのにな、何をそんなカリカリしてんだアイツは』
さわらぬ香島さんに祟りなし、だけど。放っておくのも気が引けるのよね。
『火に油を注ぐだけじゃねえ?』
だとしてもこのままじゃいけない気もする。最近ずっと顔色悪いし暗いし恐いし。
とりあえずいきなり近付く勇気もないのでメールにしとく。
(お疲れさまです、今日もしよかったら飲みにいきませんか、まる。…、よし)
『せっかく俺が可愛がってやるっていったのに、香島と飲みに行くかよ』
(なっ、)
メールを送信してから私は顔を再び真っ赤にした。
(トビってば嫉妬!)
『ちげぇし』