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毒舌
第35章 呪縛
仕事のあと香島さんが会社に戻って来てから合流して、今は久々の香島さんの車の助手席に収まっている私。
「琴美ちゃんから誘ってくれるとは思わなかった」
「香島さん体調とかよくないんですか?最近なんかアレですね」
超怒鳴り声響いて恐いです、とは流石に言えない。香島さんは、はははと笑って流してしまう。とりあえず今は怒ってないみたい。
「やっぱり部長さんは大変なんだなぁ」
勝手に納得して呟くと、否定も肯定もしてもらえず何となく沈黙しちゃった。……香島さんってこんな無口ではなかったはずなんだけど。
『重症だな』
ほんとにどうしちゃったんだろ。私だけお気楽な幸せで申し訳ないなぁと思っていたのを見透かされたのか香島さんは不意にこう言った。
「相変わらずお人好しだね」
「私ですか?お人好しですか?」
相変わらずってどうなのかしら。前々からそうだって意味なの?
『まぁ、わざわざ他人の悩みに首を突っ込むんだからお人好しだろ』
(目の前で様子がいつもと違う人がいれば気になるのは当然かと思うんですけどー)
『他人の変化に一々気付くのがそもそもお人好し。まぁ今回の香島はわかりやすいか』
誉められてるのか貶されてるのかよくわからない。