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毒舌
第35章 呪縛
『台詞と行動が噛み合ってねえな。琴美の尻にお前のあたってるぜ』
私に密着してる香島さんには実体化しないトビの声も聞こえていて、二人が喋るから私は板挟みの気分。一人でうあうあとうろたえるばかり。
「やっぱり琴美ちゃんじゃないと……」
消えそうなくらい小さな呟きはもしかすると独り言だったのかもしれない。
『今すぐ出てって捻り潰してやってもいいんだが?』
「そんなことしたら香島さんが死んじゃう!?」
だから思い止まってほしい、どちらも。という切実な私の願いは露知らずという感じに香島さんが失笑したのが耳元でわかった。
「聞いてくれる?琴美ちゃんのこと諦めようと思って俺なりに努力はしたんだけどさ。なんか不能になっちゃって……他の女じゃ全然駄目なんだ」
『そりゃ気の毒だったな』
まるで昨日は雨でさぁ、みたいにツラツラと言われても困るんですけど。私にどうしろっていうの。
「でもこんなふうにちょっと触れたくらいで……体は正直だよね」