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毒舌
第35章 呪縛
香島さんには何度か恐い思いもさせられてて。でもほんとは優しいことも、私のこと本気で好きでいてくれていることも一応は知っていたけれど。
今までの前世でも出会ってたなんて……。
『琴美はおりょうの記憶を知ってる分も合わせて、相当可愛く調教してあるからな。他のやつらみたいに嫌な思いばっかりじゃ可哀想だがお前は大丈夫だろ』
心配してるのか安心させるためなのかトビが余計なことを言う、でもその向こうに前世までの私が垣間見れて切なくもなった。
トビの声も聞こえなくて、トビの存在も知らない前世までの私は、それでも巷の妖怪には感じちゃって、あげく香島さんに無理矢理お嫁さんにされて……どんな人生だったやら。
妖怪じゃない香島さんに抱かれても幸せにはならなかったのかな。
無理矢理手に入れても片思い、なんて。余計に寂しかっただろうに。
いつの間にか香島さんの息は少し荒くなっていて。気持ちが昂ってるのがわかった。それでも何とか理性でブレーキをかけようとしているのも。
「俺、最低だね」
好きでたまらないっていう感情を、いつもセーブ出来ないくらい愛してくれた。私を傷付けてまで。
ううん。最低なのは私。傷付けて来たのは私。自分が幸せにならないからって香島さんまで不幸にしてきたの。