この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒舌
第36章 花びら
最大限まで我慢したつもりで、果てた瞬間は頭の中が真っ白になる。ぐったりと肉体を放棄して、時々小さく痙攣する度快感の余韻に打たれ、まだ私の中にいる香島さんに伝わる。
私の体を撫でて眺めながら香島さんが呟く。
「トビは出てこられるんだよね?」
「……?」
思考が追い付かず、目だけ香島さんに向けた。
「トビのキスマーク、まだ消えてないから…俺のはどうせすぐ消えるだろうけど」
私の体に刻まれたトビの痕に指を乗せて呟きながら、香島さんは笑う。
「今も出てこられるの?」
「何か用かよ」
そこに。突然姿を現したトビに、さすがに香島さんも息を飲んだ。
「………っ」
「誰が中に出していいっつった」
「……駄目とは聞いてないよ、……ていうか」
香島さんはトビを観察して笑う。
「勝ち目ないね。」
「何がだ」
「妖怪、っていうからどんなのかと思ったら。これはズルくない?」
香島さんも、人間の中ではイケメンだから大丈夫ですよ――という私の心の中で発したエールは特に誰にも届かない。トビはこの世のものとは思えないくらいの超イケメンなだけ。