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毒舌
第37章 禁断
遠くで楽しそうに滑ってる恵美と萌絵が見えた。皆私より遥かに上手くてスイスイ山を下りてくる。すごいなぁ。
「もう疲れちゃった?」
「あ、いえ。香島さんも滑ってきたらどうですか?私なら一人でも平気なので――」
とか言ってる矢先、かわいこぶりっこ風のキャピキャピしてる声が聞こえてきた。
「直哉せんぱぁい」
ナオヤ?……あぁ、香島さんの名前か。ということは目からビーム系女子の登場というわけね。
「やぁ白石さん、久しぶり」
「お久しぶりですぅ。直哉先輩が転勤しちゃってから寂しかったですぅ」
私より年上だと思うけど。すごい全力だなぁ。むせかえる女子力。やっぱり敵に回すと怖そうだし早めに逃げておこうかな…香島さんだって滑りたいだろうし。
「一緒に滑りませんかぁ?」
「いや、俺は」
私が香島さんに何か言うより早く、後ろから男の人たちの声がした。
「付き合ってやれよ香島」
「白石が可哀想だろ」
振り返れば香島さんとは同期くらいの人たちがいた。
「初心者?俺たちが香島の代わりにサポートしてあげるよ」
うわぁ。笑顔を向けられ内心ドン引き。見知らぬ方々のお世話になるくらいなら一人がいいんですけど。