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毒舌
第37章 禁断
香島さんは軽くため息をついてから、それぞれをぐるりと見回した。女子社員白石さんも男子社員A、B、Cも、一まとめに払うような笑顔。
「悪いけどフィアンセとの時間を邪魔しないでくれる?」
ふぃ、あ、ん、せ?
『そうきたか』
目が点。男子社員はすぐに散っていったけど白石さんはむしろ噛み付く勢いで香島さんを質問攻め。何もこんな敵の多そうなイベントの最中に、私をフィアンセにしたてなくてもー。
『きっと香島の野郎、この旅行の間はお前に付きっきりだな』
えー!
『女の恐さを知らない香島じゃないだろうしな。まあしっかり守ってもらえ』
元々香島さんの撒いた種だから、私は被害者だと思うのだけど。スキーを教えてもらってる手前、あんまり言えないか。
「琴美ちゃん。そろそろリフトに乗って上にあがろうか。だいぶ上手くなってきたし」
言われて振り向けばもう白石さんはいなくなっていた。いつの間に。
「あんな高いところを……ひょお」
「大丈夫だよ。慣れれば楽しいから」
無事に滑って下りてこれるか心配です。