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毒舌
第37章 禁断
何度か滑るうちに何となくコツが掴めてきてスキー自体は楽しいのだけれど。妖怪のことも香島さんのことも、頭の片隅にあって。気がかりでいた。
「香島コーチとはうまくいってるの?」
「私もコーチされたぁい」
その夜、恵美と萌絵に香島さんのことで絡まれたので先に言っておく。
「おかげさまで人並みに滑れるようにはなってきたけど、二人が期待するようなことはない」
「そおなの~?」
「強いていうと別支店の女の子が怖い」
暗い面持ちでいうと二人は笑い出す。
「わかるわかるー。前に香島さんがいたとこの人たちでしょ」
「今頃香島さんの部屋におしかけてたりして!」
宿泊先のホテルの部屋は三人一組かせいぜい二人一組。香島さんのとこも誰か同室だと思うからそんなまさかの展開とか。大胆だな。
「でも、昼間、勝手にフィアンセに仕立てられたから、香島さんは迷惑なのかも?」
「フィアンセ!?」
「そうだったの!?」
衝撃を受ける二人に逆に私が慌てる。
「ないない!」
「けどでも~。琴美といると香島さん怒んないから、いいのかも~」
「えー!」
「ついに萌絵も香島さんを諦めたか……」
「結婚したぁい!でも怒られるのこわぁい!」
萌絵のいうのももっともな気がした。怒らせたら超恐い。声大きいし、理詰めで太刀打ち出来なそう。泣いちゃう。