この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒舌
第37章 禁断
香島さんが優しくしてくれるたびに、自分が酷い人間に思えたりして素直に喜べないんだ。
自分が甘えていい相手はトビだけだと思うんだ。
だから本当はいけないって思う。
『お前からすればそうだろうけど、香島からすればまた違う。まぁ酷いかどうかはさておき、好きにしろよ。』
(うう、……突き放すのも自分の都合で相手を無視しているし、だからといって)
『あんまり深く考えると禿げるぞ』
トビの声は聞こえていないだろう香島さんが、同じようなことを言った。
「そんな難しい顔しなくていいよ。何かあったら気軽においでってだけだから」
ぽんぽんと毛糸の帽子の上から軽く頭を撫でられる。
「香島さんがお兄ちゃんだったら良かったのに」
「えー」
嫌そうな顔をされた。そりゃそうか。