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毒舌
第38章 ≡最終章≡
二人は仲良しだ。いつもアーガの膝の上にはルタが座っていた。生まれたときからずっと。眠るときも抱き合って眠る。二人は『離れたことがない』。
ある時期、食品に異物を混入させる事件があり、それが発覚するまでしばらく混入は続いていた。何も知らずその食品を口にし続けても体調の不調に気付く者はいなかった。
ただし、その年は奇形児が次々に産まれ人々は混乱に陥る。
アーガとルタは足が太もも付近で繋がった形で生まれてきた。アーガの完全な体にルタの不完全な体がくっついていた。ルタの心臓は弱く満足に一人前の循環をなさない、実質アーガの心臓が二人分働いている。
ルタのお世話は何でもアーガがしてくれた。どこかへ移動出来るのはアーガの足。ルタはいつも抱っこされているだけだった。
「ね、アーガ。どうして手術断っちゃったの?」
ルタは不安そうな顔を悟られないようにアーガに抱きついたまま静かに呟いた。
「手術すればアーガは自由になれるんだよ?」
「んー。それって何がいいの?」
アーガは力持ちだ。軽いルタくらいなら抱えていても不自由ない。ずっと一緒だったからこれが当たり前だと思っている。手術をしてルタとアーガが離れてしまえばルタが長生き出来ないこともわかっていた。