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毒舌
第6章 あやかしとおりょう
よくよく見れば
真紅の衣は襦袢、
着物の下に着る肌着だ。
辺りに
着物を吊るして
あるでもない、
いつもこの姿で
寝たきりなのか
……一応
神ではないようだ。
「お父様や家の者以外にここを訪れるなんて、はじめてなのよ」
女はそう言って
そっと手を伸ばした。
襦袢の真紅がそう見せるのか
細い腕が
雪より白く光る。
俺の知る限り
同じく妖怪の氷女だって
こんな腕はしていなかった。
襦袢姿を晒すことに
恥じらいもなく
ましてや
顔も知らぬ俺に
何の警戒もない。
「お前、ほんとに人間かよ」
「おりょうよ。貴方の名前は?」