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毒舌
第6章 あやかしとおりょう
気味の悪い部屋に
まるで取り残された、
そんな表現が
ぴったりだった。
「おりょう……退治屋の娘で間違いないのか?」
「そうよ。お父様を知ってる?」
俺が
敵対するあやかしだと
解ってないのか
おりょうは
実に落ち着いていた。
粉をはたくでも
紅をひくでもない
素っぴんのまま
香の一つも
焚いてはいないのに。
おりょうは
甘い匂いがした、
血肉そのものが放つ
魅惑的な香りだ。
人間なんざ
みんな糞だと思って来た
俺の常識を覆すほどに
それは強烈だった。
変に喉が渇く、
おりょうを見ていると
腹の底から
緊張が沸き起こる。
それは
おかしな不快感だ。