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出会いは必然に
第6章 全ては必然に
「ねぇ?結局あの女の子は誰なの?」

セックスが終わった後、私はしこりを残さないようにズバリと聞いた。

「恩師の娘さん。恩師がずっと具合が悪かったらしいんだけど
俺が電話を持ってないから。やっと探し当ててくれたんだ
俺の変わりようにビックリしてた」

「そっか。汚かったもんね。髭付きの大川さん。でも泣いてたのは?」
「その恩師が・・・一昨日、亡くなったんだ。今日はお通夜だった。
明日のお葬式が終わるまで帰らないつもりだったけど、陽菜が心配で帰ってきた」

そう言いながら私のこめかみにキスをする。
髭のない口元はあっさりしていて、まだちょっとさみしい。

「昔付き合ってたりした?」

そんな私の質問に驚いた顔をして私を見つめる。
「もしかしてヤキモチ妬いた?」
何も答えない私に
「陽菜ちゃん可愛い!」と抱きつく。

「綾乃さんはあぁ見えて結婚してるから」

へぇ~・・・・

「ひな。もう1回しよう?」

上体を起こして空いた手で私の上半身を
これでもかってほど優しく撫でまわす。
あったかい手が心地いい。

あ~でも
「ダメ。私、明日忙しいの!大川さんもお葬式でしょ」
「忙しいって仕事が?」
「そう。ほら。例の広告代理店のリフォーム。日参のアポ。朝一なのよっ」
「そっか~・・・じゃぁ、こうして寝ようぜ」

ぎゅっと私を抱きしめた大川さんは
もう離さないとばかりに、手に力を入れた。

く・・・苦しい・・・

でも、大川さんの満足そうな顔を見たら
多少の苦しさは我慢しようかなって思えた。

これが人を好きになるってことだった。
思い出したよ。山田。



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