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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
「安心おし、小紅ちゃんが心配するようなことは何一つない。栄さんは本気で惚れた女がいるのに、惚れてもない女を平気で抱くような男じゃない。それだけは緋扇の美桜姐さんが断言してやるよ。これでも伊達に女郎屋の女将をしてきたわけじゃないし、あたしだって、十三のときから苦界で生き抜いてきたんだ。男も女もおしなべて人間ってものを見る眼は少しは自慢できると思ってるんだ」
美桜が言い終わらない中に、部屋の襖が音を立てて開いた。
美桜が言い終わらない中に、部屋の襖が音を立てて開いた。