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キスより蕩けたヒメゴトを
第3章 【真っ暗な闇に堕ちる】

え……?
沙織は静寂に包まれた職内に息を詰まらせた。
いつもの光景。先生方が忙しそうに動く姿、パソコンの前に座る先生も皆自分に集中しているのが分かる。
「星乃先生」
ーービクッ
低い声で室内を轟かせる教頭の声に沙織は肩を上げて身を固めた。握る鞄に力をこめて彼女は静かに息を飲んだ。
集中されるたくさんの目線、
(ま、さか…)
もう…、だなんて思い当たる節がある沙織の背筋から冷や汗が垂れこむ。
次の言葉を出しそうな教頭の口の形を見て沙織は瞳をぎゅっと閉じた。
(ああ……もう…終わり………だ)
激しく打ち付けられる波。
互いに肌ぶつかり光る汗。高揚して確かに感じていた自分。
悪いのは彼…三矢恵斗のせいだけでは無い。
それを認めてしまえば、こんな心臓に悪い思いをしないで済んだのか。

