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彼女は思い通りにいかない
第4章 俺と志織の我慢
見慣れない夜の景色の中を走りながら、志織への言葉をずっと探している。

まだ約束のことは言えない。
言えば志織はそんなことしなくていいと言うだろう。
私なんかの為に、とも言うかもしれない。

でもそれじゃあ意味がない。
香に認めてもらって、ゆくゆくはご両親にも認めてもらいたいのだ。

「……ここか?」

表札に佐藤の文字。
住宅街のど真ん中にある家は二階建てのお洒落な家だった。

俺は携帯を取りだし、志織の携帯に電話をかける。
コール音が何度も耳に響いた。

……もしかして出ないつもりか?

そんな不安が一瞬よぎった時だ。

「……もしもし?」

小さな声で問いかける志織の声が聞こえた。


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