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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「ヴィクトリア……。誰と見間違えている? 俺だぞ?」

 鼓膜を震わすのは、聞き馴染んだ声。

「………………っ」

 自分へと降りてくる男の手に、ぎくりと全身を強張らせれば、

 次いで感じたのは、頭を撫でる大きな掌。

「俺はお前の “お兄ちゃん” だろう?」

 白い頬を包み込む暖かさに、

「……おにぃ、ちゃん……?」

 そう確認すれば、

「ああ、そうだよ」

 愛おしそうに囁いてくれるその声音に、細まっていた瞳が徐々に開かれ。

 そして、

 自分を見下ろしているのは、ただ1人。
 
 自分の血の繋がった兄であると、そう認識した。

「俺とヴィクトリア以外には、誰もいないよ」

 その囁きはともすれば危険極まりないものだったが、今のヴィヴィには安堵だけをもたらした。

(……おにいちゃん……。

 お兄ちゃんだ……。あの男じゃない……)

 金の髪を整えながら撫でてくれる掌が心地良くて。

 頬に添えられた掌に、夢見心地に頬をすり寄せれば、

 微かに香った兄だけの香りに、更に心が落ち着きを取り戻した。

「ヴィクトリア……。なんて、愛らしいんだろうね、お前は」

 兄のその呟きが、妙に傍に感じられて。

 そう思った時には、端正な顔がすぐ間近にあって。

「……だ、め……」

 唇に兄のそれが触れてしまいそうで、

 ヴィヴィは頬に添えられた掌に埋めるように、ゆっくりと顔を背けた。

「駄目?」

 ふいに上半身が軽く持ち上げられ不思議に思えば、匠海の片腕に肩を抱かれていて。

「ダメ……っ」

 ようやく正気に戻り始めたヴィヴィは、そうはっきりと意思表示した。

 なのに、

 露わになった首筋に押し付けられた唇は、触れるか触れないかの柔らかなもので。

 次いで感じた濡れた感触に両肩をぴくりと震わせれば、宥める様に抱いた腕の先で頭を撫でられて。

「ヴィクトリア……」 

 首筋と耳の裏を丹念に舐められる、ぬめった感触に、

 我知らず 華奢な肢体がぞくぞくと震えていた。

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