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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 瞬速で折り畳んでいた両手を伸ばし、無防備なそこを拘束された手首の先で隠すが、

「正確に言えば、ヴィクトリアの清楚この上ない金色の産毛が、俺の目を愉しませてくれている」

 心底嬉しそうに、いや、愉しそうに囁いてくる匠海。

 今やオフホワイトのバスローブは何の役割も果たさず、逆に両腕にもさもさ かさ張って動きにくいだけで。

「み、見ちゃ駄目っ!!」

 青白かった顔が瞬時に赤く染まり、頭に駆け巡った血にクラクラ眩暈を覚える。

 そんな状態の妹に、匠海は追い打ちを掛けるように、躰をひた隠す細い腕を撫で上げて来た。

「ほら、ヴィクトリア。腕を退けて?」

 抱かれた肩を大きな掌で包まれて。

 こめかみに押し当てられた唇から洩れる吐息の熱に、全身が震える。

 あくまでも自分の意志により、匠海の前に躰を差し出すその瞬間を、

 ゆっくりと待ってくれているのが、嫌というほど解かって。
 
 兄の艶っぽい懇願を、素直に受け入れてしまいそうになる自分と、

 けれど、

 今や2人の間に立ちはだかった、絶対に乗り越えられない大きな壁を思い出す自分と。

 小さな頭の中で、その2人の自分がキャンキャン言い争いをしていた。

『だ、だって……。お兄ちゃんを嫌いになって、別れたんじゃない……』

『そうだとしても、お兄ちゃんの幸せを想って身を引いたなら、死ぬまで貫き通すのが筋でしょっ!』

『……なんで……? なんで “私だけ” が自分を殺さなきゃ、ならないの……?』

『本当に愛しているのなら、実の兄の家庭を壊すなんて、絶対に絶対にありえない――!』 

 2人の自分が発する言葉は、

 どれもが本音で、

 どれもが建前で、

 どれもが現実、だった――。

 けれど、

「ヴィクトリア」

 自分を呼ぶ匠海の声は、どこまでも甘くて。

 肩を抱き寄せる逞しい腕は、暖かくて。

 覗き込んでくる灰色の瞳には、

 うっとりと兄を見つめ返す自分が写りこんでいて。
 
 だから、

「いやっ! ホントっ もう、やめて――っ!!」

 訳が分からなくなったヴィヴィは、その気持ちのまま叫んでいた。

 自分を見下ろしている匠海が、はっと目を見張る様子に、

 ヴィヴィは耐えられずに顔を背けた。

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