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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

 なんで――?

 なんで、

 どうして、

 こんな事になってしまったのだろう――?
 
 私は1年半という時を掛けて “自分” を殺してきた。

 涙に枕を濡らした夜なんて、渡英してから数ヶ月は毎日だったし。

 ふと気を抜いた途端に匠海の事を思い起こす自分を、

 ずっと叱咤し続け、「出来損ない」と貶めてきた。

 1シーズンを掛けて『LULU』を演じたのも、

 どれだけのバッシングを受けようとも、己を貫き通したのも、

 全て、2人の “自分” を殺す為にだった――。

 そうして、

 何とか己の壁をよじ登り、

 何百日と続いた長い闇から抜け出し、

 これからの長い人生を1人でも立てるようにと、新たな希望をも見出して――。
 
 それなのに、

 そんな自分の決意や信念は、

 昨夜、ものの見事に全て粉々に打ち砕かれ。
 
 死に損ない。

 そして、何の因果か、

 こうしてまた、

 自分を捨てた実の兄に “この1年半の自分” さえをも、踏みにじられんとしている――。

「ヴィクトリア……」

 兄の呼ぶその名前に、

「だからっ もう、死んだの……っ!!」

 ヴィヴィは否定しながら、死に物狂いで身をよじる。

 やっと兄の片腕から逃れた上半身が、羽毛布団の中にぼすりと沈み込み。

 そのまま逃れようとしたヴィヴィ。

 しかし、剥き出しの両肩を掴まれたと思えば、また仰向けに押し倒されてしまっていた。

「……~~っ!?」

 自分の腰を両膝で跨ぎ、簡単に体重を掛けて拘束してくる匠海を、

 ヴィヴィは渾身の想いを込めて睨み上げる。
 
 これだから “男” は嫌い――!

 言葉で説き伏せられないと判断したら、態度を豹変させて力で捻じ伏せてくる。

 そして簡単に嘘を吐き、他人を傷付け。

 そのくせ気が変われば、自分への忠誠を確認する為だけに、

 捨てた女にさえ、悪戯に構ったりするのだ。

 引き結んだ薄い唇の中、ぎりりと歯噛みするヴィヴィは、

 例え相手が元恋人であろうが、噛みついてやろうと決意していた。

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