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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第3章   

「凄く狭いな」

 驚きを滲ませた匠海の声に、ヴィヴィは羞恥に細い肩を竦ませる。

 昨夜、少し解されてしまったとはいえ、

 ヴィヴィが性行為に耽るのは、19歳の1月以降は皆無だった。 

「やだぁっ もう、馬鹿っ! お兄ちゃんなんか、禿散らかして死んじゃえっ!!」

 許可もしていないのに勝手に事を進めていく匠海に、ヴィヴィはおもいっきり憎まれ口を叩いてやった。

「お前……随分と酷いことを……」

 頭髪が気になったのか、豊かな黒髪を掻き上げたその仕草さえ、婀娜っぽく映って。

「ふんっ だ!」

 「もう21歳だよ?」と突っ込みたくなる捨て台詞で、そっぽを向いたヴィヴィだったが、

 本当のところは、顔を背けながら拘束された両手を唇に当て、必死に声を我慢していた。
 
 兄のあの長い指が、自分の躰の奥深くまで入っている――。

 自分に触れられる事さえ、一生無いと思っていたのに。

 根元まで突き立てられたその指に、

 今の自分は、もうその細い質量にさえ一杯いっぱいで。

「そろそろ、ヴィクトリアの可愛らしい声、聴きたいな」

 その声と共に与えられたのは、指を咥えさせられた膣口の上、

 ぷっくりと膨れ上がってしまった肉芽への刺激。

「ああ、気持ち良さそうだ、ヴィクトリア……」

 膣口の周りに零れた蜜を指先で掬い取っては、小さなそれを磨き上げられ。

 中の指は1mmたりとも動かされていやしないのに、

 快楽の芽に余りにも従順なヴィヴィの躰は、きゅんきゅんと匠海の中指を味わい始めていた。

「やぁっ あん、も……抜いてぇ~~」

 久しぶりの行為に、自分の神経は過敏に反応し過ぎていた。

 膣裏全体がムズムズと痒みに似た疼きを覚え、

 それが羽毛布団に埋もれた腰から背筋へと、波紋を広げるようにじわじわと伝播していく。

「ほら、「もう1本欲しい」って言ってごらん?」

 兄の唆してくる言葉に、

「言う、わけ、な――っ やぁあああん~~っ」

 反抗したヴィヴィは全てを言い終わらぬ前に、甘い嬌声を上げていた。

 今の自分には1本でも、決意が揺らいでしまいそうなのに、

 更に増やされた薬指の質量に、身に余る快感が細腰を震わせていた。

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