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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

「ヴィっ!? ぅあ、待っ ~~っ」

 いつもの様に可愛く上下に跳ねるヴィヴィは、そこには居なかった。

「出し、ちゃ、ダメっ よ?」

 匠海のシャツの脇腹を掴み上げ、小ぶりな尻だけを上下する卑猥な腰使いに、

「分かっ てっ ~~~っ ああ、無理だっ!」

 早々に根を上げそうな匠海。

「避妊っ しないで、妹の中に、なんてっ ねえ?」

 言葉では詰るくせに、白い肢体は艶めかしく、目の前の匠海を煽り続けていた。

「リボ……ンっ 解けて、るっ ~~って! うぁああっ」



 胸を抉る現実に比べ、

 肉だけの交わりは、どうしてこんなにも甘美なのだろう――?



 吸い付きたいのを必死に堪え、咽喉仏をぺろぺろしながらラストスパートを駆け。

 そうして追い上げられた絶頂に、息を詰めてビクビク震えた華奢な肢体は、

 やがて、ふっと糸が切れた様に、逞しい躰の上に崩れ落ちた。

「だ……、出したぁ~~っ」

 涙声で事実を主張する妹に、

「ごめん! ヴィクトリア、ごめん……っ」

 荒い息を吐く兄は、必死に謝罪を口にする。

「「ごめん」で済んだら、警察いらない!」

 可愛くない能書きを垂れながらも、

 未だ まぐまぐと兄を味わう媚肉は、歓喜していた。
 
 自分の奥深く、欲情の滾りを注ぎ込んで来た雄丸出しの匠海を、両腕でしっかりと抱き締めてやる。

 薄い唇からほうと漏れるのは、満足気な熱い吐息。

 途轍もなく、気持ち良かった。

 忘れもしない、19歳の1月末。

 五輪の地へと旅立つ前に、匠海は受け止めきれない位の白濁を与え、

 少し大人になり始めていたヴィヴィの最奥を、優しく愛でながら愛してくれた。

 男と女。

 血の繋がった兄妹。

 未来永劫に渡って、絶対に交じり合えない両者。

 けれど、

 暖かな兄のものを受け止めていると、その束の間の瞬間だけは、

 互いが熱く溶け合って、一つになれた気がして――。
 
 そんな夢見心地なヴィヴィに対し、

「ヴィクトリアっ ピル飲んで、何日目?」

 妹の「触らないで」という命令を、クソ真面目にまっとうし続ける匠海は、

 そんな雰囲気ぶち壊しな事を、確認してくる始末で。

「………………」

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