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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章
朝練用のトップス、レギンス、ソックス。
昼間に着ていたネルシャツのワンピ。
夜練用のトップス、レギンス、ソックス。
そして、
(し……っ 下着ぃ~~っっ!!!)
リビングの床に着いた両膝は、あまりの羞恥に笑っていた。
百歩譲ってスポーツブラとショーツはいい。
黒一色でサポート力に特化したそれらは、色気など全く感じさせぬ代物だから。
だが、
だが昼間に着けていた下着は、桜色のレースとフリルが愛らしいブラとショーツ。
まあ色気には欠けるが、一足遅い春を感じつつテンションを上げようと選んだ、可愛らしいものだったのだ。
「……っ も~~、やだぁ~~……」
半泣き状態のボヤキが、吹き抜けのリビングに虚しく拡散していく。
どうして洗濯機に放置して置いてくれなかったのだ。
乾燥機能付きのそれの中に、放って置けばいいのに。
わざわざ取り出して、しかも丁寧に畳んでおくだなんて。
“おかん男子” も甚だしい “おせっかい男” 以外の何物でもない。
(……こ、これを……お兄ちゃん、が……)
洗濯ネットに入れていたそれらを、眉目秀麗な匠海が取り出し。
おそらくリビングのソファーに腰掛けながら、
「しょうがないな~~、ヴィヴィは~~」
とか嘆息しながら美しく長い指で、主婦宜しく せっせと畳んだというのか。
(も゛……、もう、立ち直れないぃ……orz)
大げさかもしれないが、自分という全てが匠海によって辱められた様な気がした。
15歳から19歳まで。
そして昨年末まで、数え切れないほど肌を重ね、互いの全てをさらけ出してきたというのに。
自分から別れを切り出した相手に、それ以上のとんでもない恥部を目の当たりにされたかの様な恥ずかしさに、
もう いても立ってもいられなくなったヴィヴィ。
何故かスーツケースを床上に広げると、洗濯済みの衣類を放り込み、厳重に鍵を掛け。
そして手早くスポーツウェアを着込むと顔を洗うことさえせず、早朝の海へと駆け出して行ったのだった。