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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

 1時間のジョギングに加え、スラロームコーン代わりに松ぼっくりを拾ってきての足さばきなど。

 2時間 黙々と陸トレを熟し海岸に面した別荘に戻った頃には、とうに7時を過ぎていた。

 小高い丘を登り、ウッドデッキで体中に纏わり付いた砂を払っていると、

 前触れも無く、デッキに通ずるガラス窓が静かな音を立てて開けられた。

「お帰り、ヴィヴィ。もうすぐ ご飯出来るから、お風呂入っておいで」

「………………」

 爽やかな朝に相応しい、溌剌とした灰色の瞳。

 海面が跳ね返す朝日に輝く、白く清潔な歯。

 まだセットされていない、サラサラの黒髪。

 匠海が寄越した そんな “100点満点の朝の挨拶” を黙殺したヴィヴィは、玄関へと回ってバスルームに直行した。

 汗と砂を流し、湯の中に身体を沈めれば。

 儚い湯気が立ち昇る湯面すれすれ、覗いていた灰色の瞳は完全に据わっていた。



 兄が作った料理なんて、金輪際口にするものか。

 本来なら今頃は真行寺兄妹と、のほほんと朝食を頂いていた筈なのに。

 それがどうして、この場に軟禁状態で居なければならぬのか――?

 その起因である匠海を喜ばす事なんて、してたまるものか。

 昨日のは……あれは、うん。気の迷いだ。

 パンでも齧っていれば、今日は大丈夫だもんね!



 昨夜 思わず手を付けてしまった、色とりどりのオードブル。

 それをちらりと金の頭の中に思い浮かべたヴィヴィは、ぷるぷると頭を振り、

 兄の素晴らしい料理の数々を、記憶から追い出したのだった。




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