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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      



 20分 経過後――



(むっぎぃ~~~~っ!!!!!)

 6部屋ある2階の廊下で、ヴィヴィは文字通り地団駄を踏んでいた。


 何で!?

 なんで1個も見つからないのっ!?

 このフロアのどこかに、

 お兄ちゃんが隠した水色のエッグ・カプセルが、5個も潜んでいる筈なのにぃっ!


 金の長い髪が乱れるのも構わず、一心不乱に各部屋を漁ったものの、

 細い腕に掛けた籐籠の中はというと、制限時間の10分が迫っているにも関わらずスッカラカンだった。

 そして、その様子を後ろに従いながら、愉快そうに見下ろしていた匠海の胸元から、

 無情にも10分経過を知らせるアラームが鳴り響く。

「はい、終了~~」
 
 妹の無能さをあざ笑うかの様な軽さ(ヴィヴィにはそう聞こえる)で、ゲームの終了を宣言する声に、

 ギリっと奥歯を噛み締めながら背後を振り仰いだヴィヴィは、ガキっぽく籠をぶんぶん振り回す。

(なんでっ!? 昔はあんなに簡単に見つけられたのにぃ~~~っ!!!)

 双子が初等部高学年に上がる前まで、篠宮家で楽しまれていたイースターのエッグ・ハント。

 そこで自分はいつも「ヴィヴィ・バニーは探し物が本当に得意だね~♡」と、父と兄にべた褒めされていた。


――ちなみにヴィヴィは気付いていなかったが、母はそんな夫と息子を(無駄に甘やかすんじゃねえよ……)と、白い目で見ていたのだが。


 そして血走った目で確認すれば、兄の籠の中にはきっちり5個、ピンク色のそれらが収まっているではないか。

 0対5

 “完全なる敗北” である。

「……~~~っっ」

(おかしいっ こんなの、絶対おかしいもんっ!!!)

 兄にゲームで負けるなんて絶対にありえない。

 何故なら自分は生まれてこの方、匠海に負けたことが本当に一度も無かったのだ。

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