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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第13章      

「……っ な、何……?」

 焦って頭を起こせば、すぐ間近にあった彫りの深い切れ長の瞳と視線がかち合い。

 そして、自分と同じ灰色の双眸に湛えられた、慈しむ様な暖かな眼差しに、

 思わず、息が詰まって。

「俺の “我が儘” を聞いてくれてありがとう、ヴィヴィ。とても嬉しかった」

「………………」

 言外に「ゲームに勝利した “見返り” はもう充分貰ったよ」と言われ、

 それを直ぐに理解したヴィヴィは、静かに けれど素早く、匠海が創り出した柵の無い檻から解き放たれた。 

 勝利者から「もういい」との許可が出たのだから、これ以上こんな間抜けな格好を晒し続ける必要も無く。

 ヒップに付けられた真ん丸の尻尾に、何故か異様に熱い視線を感じつつ、とっととバスルームへの道程を戻る。

 正に脱兎の如き勢いで脱衣所へ逃げ込み、きっちり施錠し。

 そうして広い洗面台の前で項垂れつつ、ヒンヤリとした陶器製のそこに両手を付く。

 目の前にある鏡を見なくとも、今の自分がどれほど滑稽なナリをしていて、

 己の立場に不釣り合いな顔色と表情を宿しているのか、手に取るように解かっている。

 目深に被ったアイボリーのフードの下、

 白くなるまで噛み締められた、それで無くとも色素も厚みも薄い唇。

「………………っ」



 だから、

 だから厭なのだ。

 耐えられないのだ。

 あの男が傍にいるだけで、

 家族として微笑み掛けられるだけで、

 私は、

 私だけ、が――






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