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キスの花束を
第1章 別れと出会い
会社の近くの居酒屋だということも忘れ
課長の愚痴をしこたま言い、自棄酒をしこたま飲み、
金曜日だという事を頭の隅で計算し、しこたま酔った。

酔わなきゃやってられなかった。
あんなやつにささげた3年間。
悔しいと同時にどれだけ好きだったか
思い出して泣けてきた・・・・

不倫だろうと恋をしていたことに変わりはない。
あの男にとって私はなんだったんだろう。

涙がでると酔いは確実にさらに回り始める。

私はぐでんぐでんに酔った。
「兄貴。俺が紗江子さんを送るから」
私は可愛いツカサ君と手をつないでいた。
「おまえ、ちゃんと帰って来いよ?送り狼になるなよ?」
「古っ!いまどきそんな言い回ししないから!」
「いいんだよ!とにかく紗江子は俺の大事な同期だからな!」
「はいはいはい。兄貴は明日香さんを送ればいいんだよ!
兄貴は逆に帰って来んなよ! 明日香さんをモノにしてこい」
「うるせ・・・」

啓とツカサ君の間でそんな会話がされている事は頭の隅で聞こえていた。
それから私はツカサ君にタクシーに乗せられた。

「紗江子さん。家の説明できる?」
「できませぇん・・・・」
「ほら。しっかりして。あんまり酔ってるとお持ち帰りしちゃうよ」

そんな風に困ったような声で言うツカサ君の声を聞きながら
酔いを少しずつ醒まして言った。

私の酔いは本物だったけど割と意識はしっかりしてた。

伊達にトシを食ってるわけじゃない。
伊達に飲み会の場数を踏んでるわけじゃない。

タクシーの中で軽く寝たら家につくころには
覚醒する自信はあった。

お持ち帰りされちゃうのは私じゃなくて
君だよ。

ツ・カ・サ・君♪

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