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噂をすれば恋
第1章 う
「いい男なんか幻想じゃない?」
「うん。私もそんな気がする」
「私たちより仕事ができる男って、専業主婦になる女を選ぶ傾向がある」
「言えてる!私たちにそれは無理!」

だんだん酔ってきて会話も弾み
いつもより饒舌になる。

「商品開発事業部にさ、いい男がいるらしい」
「え~。開発に?」

すみれの言ういい男はセックスがうまい男。

「真樹、広報絡みでツテあるでしょ」
「あるけど、開発なんかろくな男はいないよ~」

広報部の私は各部にそれなりのツテはある。
だから合コンをセッティングしろという。

「でもいるんだって!」
「ふ~ん。期待はしないけどね。いいよ。名前は?」
「忘れた~」
「あっはっはっは。それは無理だ」

二人でかなり酔ってる。
カチャンカチャンと何回も乾杯をしては
えげつない話をする。

「俺がセッティングしてやろうか?」

真後ろの席から声がして私たちは飲む手を止めた。

ゆっくりと後ろを振り返ると
背の高い男がニヤリと笑っていた。

油の匂いがする。

「あんた誰?」
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