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冷たい月を抱く蝶
第2章 温かい手のひら
「良い子だ。さあ、私と馬車に乗ろう」

彼は私の手を取ると、馬車に導いた。

「あ、貴方の名前は…?」

「私の名前はクレハドール。そして今日から、きみのお義父さんだ」

「クレハドール…」
「素敵な名前ね…――?」

「そうか?」

「ええ、とても素敵だわ…」

「きみの名前は?」

「私には本当の名前がないの。だから、色々な名前を貰ったわ…」

「でも私に名前をつけてくれた大人達は最後、私のことを捨てたわ…」

「たがら本当の名前なんていらないの…」

「そうだったのか。きみは辛いおもいをしてきだんだな…」

「なら、きみの名前は今日から瞳子だ。素敵な名前だろ?」

「瞳子…」
「それが今日から、私の名前なのね…?」

「ああ、そうだよ瞳子――。さあ、私の屋敷に行こう」

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