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学園物えっち短編集
第20章 桜舞い散る中の君
俺は、空いてる方の手の指で桜さんの頬を流れる涙を拭った。
「…俺も、桜さんと同じ気持ちなんですけど。じゃなきゃ、こんなに話し掛けに行かないし…お互い同じ気持ちって事で改めて友達になりませんか?」
「あのね、私ここに行きたい。ここに一緒に行くまでの間だったら友達になってもいいよ」
桜さんは俺のスマホの桜の木を指示した。
「期間限定!?ここに俺と行くんですか!?北海道ですよ!?…ここに行ったら友達終了するなら、ここ一緒に行きたくないんですけど」
「一緒に行ってくれないなら友達にならない」
「わかりました!行きましょう!まぁ…行けるとしたら今年バイトして金貯めて来年辺りですかね」
「駄目。今年見に行くの」
「はい?今年…ってまた無茶苦茶な事言ってる…ウーン…。旅費の足りない分親に頼んで貸してもらえば行けなくもないけど、桜さんは親とか旅費とか大丈夫なんですか?」
「平気。じゃあ、決まりね」
桜さんはすごく嬉しそうに笑顔でそう言った。
本気で行くつもりなんだろうか…。
いくら桜が見たいからって彼氏でもない男と北海道に旅行に行くなんて、本当…かなり変わってる。
とりあえず、期間は設けられたものの桜さんと友達になる事が出来た。
その後はまたどうにかして友達期間継続してもらうなり、またあわよくば付き合ったり…出来るかもしれないし。
この日、桜さんが流した涙の意味を察するのには16年と数か月の人生経験ではあまりにも経験不足だった。
この時の俺は桜さんと友達になれたという事だけが嬉しくて、深く考えようともしていなかった。